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更新日:2016-05-29

[メモ]コンデンサの定電力放電

概要

充電されたコンデンサに、 DC/DCコンバータなどの「定電力負荷」を接続した場合の挙動について考えます。

Case1 定電力負荷の接続

Test circuit 1

コンデンサの容量を\( C \mathrm{[F]} \)、初期電圧を\( V(0)=V_0\)、 とし、定電力負荷\( P\mathrm{[W]} \)を接続した場合を考えます。 このとき、

  1. 放電開始から放電終了までの電力消費は一定
  2. 放電開始から\( t \mathrm{[s]}\)秒経過後のコンデンサの蓄積エネルギーは\( \frac{1}{2} {CV(t)}^2 \)
  3. \( t\)秒間に消費された電力は\( P t\)

に着目すると、次式が成立します。

\[ \frac{1}{2}C\left( {V(t)}^2 - {V_0}^2 \right) =Pt \\ \Leftrightarrow {V(t)} = \sqrt{\left( V_0^2 - \frac{2}{C}Pt \right) }\tag{1} \ \mathrm{[V]}\\ \]

また、ある電圧 \( V(t)\)となるまでの秒数は、式(1)を\( t \)について解き、

\[ t = \frac{C}{2P}\left( {V_0}^2 - {V(t)}^2 \right)\tag{2} \]

となります。

上式(1)に従い、\( C=4700\mu \mathrm{F} \)、\( V_0=100\mathrm{V} \)、\( P=5\mathrm{W} \)、とした場合の\( V(t) ― t \)グラフは次の通りとなります。 また(2)より、放電開始より\( 4.7\mathrm{sec} \)で放電完了(\( V(t) = 0\mathrm{V} \))と求められます。

Test circuit 1_fig1

Case2 定電力負荷と放電用抵抗器の並列接続

Test circuit 2

次に、定電力負荷に加え、\( \mathrm{R[\Omega]} \)の抵抗器を並列に接続した場合を考えます。 コンデンサより図の方向に流れ出す電流を\( i(t) \mathrm{[A]} \)とおくと、電荷\( Q(t) \)の定義より

\[ Q(t)=\int^t_0 i(t) dt \tag{3} \]

従って、微小時間\( \Delta t \)経過後のコンデンサの電荷が\( Q(0) \to Q(0) - \Delta Q \)になるとすれば、

\[ \Delta Q = i(0) \Delta t \tag{4} \]

また、電流\( i(t) \)については、抵抗器に流れる電流が\( V(t)/R \)、定電力負荷に流れる電流が\( P/V \)であるため、

\[ i(t) = \frac{V(t)}{R} + \frac{P}{V(t)} \tag{5} \]

以上の式(4),(5)より、微小時間\( \Delta t \)経過後のコンデンサの両端電圧は、

\[ \begin{eqnarray*} V(\Delta t) &=& \frac{1}{C} \left( Q(0) - \Delta Q \right)\\ &=& V_0 - \frac{1}{C} \left( \frac{V_0}{R} + \frac{P}{V_0} \right)\Delta t\tag{6} \end{eqnarray*} \]

また、さらに微小時間\( \Delta t \)経過後のコンデンサの両端電圧は、 同様の作業を繰り返し、

\[ V(\Delta t + \Delta t) = V(\Delta t)- \frac{1}{C} \left( \frac{V(\Delta t)}{R} + \frac{P}{V(\Delta t)} \right)\Delta t\tag{7} \]

以上を繰り返すことで、コンデンサの両端電圧\( V(t) \)について、数値的に求めることができます。 実際に、刻み幅\( \Delta t = 0.001 \)とし、Microsoft Excelで計算した結果を下記に示します。 ただし、\( C=4700\mu \mathrm{F} , V_0=100\mathrm{V} , P=5\mathrm{W} , R=4700\mathrm{\Omega} \)としました。 放電完了まで3.924secであり、Case1と比較し放電用抵抗器の影響が出ていることが分かると思います。

Test circuit 2_fig1

余談

ある特殊な状況下で、放電抵抗を並列に取り付け、コンデンサの放電時間を調整する必要が生じました。 そこで、放電抵抗と定電力負荷をコンデンサに並列接続した場合について、調査を行いました。 Web検索では文献1や2がヒットし、Case1についての記載はありましたが、Case2についての記載は無いため、 上記のような計算を行いました。

更新履歴

参考文献

  1. 「放電時間の算出方法」,エルナー株式会社
  2. 「キャパシタに関する種々の数値解析」,安竹洋平