横河のAC/DC電流プローブ「701932」を導入しました。使用感を簡単にまとめておきます。
電流プローブの必要性
AC/DCの電流波形を測定する方法として、回路に対し抵抗器を直列に挿入しオシロスコープで両端電圧を見る、というものがあります。ただし、この方法にはいくつか問題があります。
- 抵抗器のインダクタンスにより、高周波の測定が難しい
- 回路とオシロスコープが絶縁されていない場合、受動プローブではGND以外の電流を測定できない
AC/DC電流プローブを使えば、これらの問題を解決できます。某オークションサイトで中古品が放出されていたので、勢いで購入してしまいました・・・
電源の接続
この電流プローブには、LEMO社製のコネクタが付いています。このコネクタに対応する電源は各社から発売されており、今回はスタック電子のAP501を購入しました。中古で安価(1~1.5万円)なのが選んだ理由です。
ただし、AP501の出力は1chあたり±120mAと小さいため、測定可能な電流の範囲に制限があります。以下のグラフは701932取扱説明書からの引用で、目分量ですがDC-10A~8A, AC12Aぐらいが測定できます(※)。プローブのスペックを生かしたい場合は、日置 3269や横河 701934を使うのが良いかも。
※実際には少し余裕があります。AP501を分解してみると、各chの出力が共有されています。1ch使用の場合は±240mAまで使えます。
プローブの補正
測定前に、約30分のウォームアップが必要です。これを行わないと、機器が暖まるにつれて温度ドリフトが生じるため、正しく測定できません。ウォームアップ終了後、プローブの消磁とゼロ位置調整を701932取扱説明書に従って実施します。この作業はプローブの電源を投入するごとに行います。
ゼロ位置調整には、オシロスコープのアベレージ機能が便利です。垂直軸を拡大するとノイズが乗りますが、アベレージ機能を使うと画像のようにノイズが少なくなるので、ゼロ位置を合わせやすくなります。
測定波形
試しに、降圧型DC/DCコンバータTPS62260のスイッチング波形を測定しました。回路図中の○印が測定ポイントで、オシロ画面のCH1がスイッチの電圧波形、CH2がインダクタの電流波形です。CH2を電流プローブで測定しており、約2.3MHzの電流波形がきれいに見えています。
余談
このクラスの電流プローブは、日置製のOEMが多いらしいです。例えば、以下のプローブはほぼ同スペックなのでたぶん日置製でしょう。製品画像を拡大すると「MADE IN JAPAN」の文字が見えますね。
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